※こちらのページはカラーのダメージについて詳しく説明をしております。詳細を説明するうえで専門用語を使っていますので、分からない点などはLINEで無料相談もしくは店頭でおたずねください。
1アルカリによるダメージ
1-1. アルカリ剤は何のために使うの?
一般的なカラーはアルカリ剤を使って髪を膨潤させ、染料や酸化剤が毛髪内部へ作用しやすい状態をつくります。
代表的なアルカリ剤には、アンモニアやモノエタノールアミンなど使われており、それぞれ揮発性や薬剤の性質は異なりますが、いずれも処方の中でアルカリ性をつくる役割で処方されています。
ここで重要なのは、アルカリ剤は髪を染めるために必要な働きをする一方、毛髪の構造にも影響するという点です。
1-2. アルカリ剤が髪に与える3つの影響
① 毛髪の膨潤
アルカリ性の薬剤が毛髪に作用すると、毛髪内部の電荷状態などが変化し、水を含んで膨潤しやすくなります。

膨潤は薬剤の浸透に役立ちますが、過度な膨潤や繰り返しの化学処理は、キューティクルや内部構造への負担につながります。その為、当店では同じ日にカラーやパーマ、縮毛矯正をすることをおすすめしていません。
② 表面の脂質への影響
髪の表面には、18-MEAと呼ばれる脂質などが存在します。これらは毛髪表面の水をはじく性質(疎水化)や、滑らかな手触りに関係しています。

アルカリ性の化学処理によって表面脂質が失われると、髪が水になじみやすくなる(親水化)一方、摩擦や引っ掛かりが増えます。
ブリーチなどを繰り返すと、髪が水を含みやすくなり、乾きにくく、ドライヤーで乾かすとパサパサになってしまう原因です。
③ 内部構造への影響
毛髪表面のキューティクルだけでなく、内部のタンパク質や細胞同士をつなぐ構造にも影響が及びます。
アルカリによる影響は、単にキューティクルを開くだけではありません。使うアルカリ剤、条件によってはタンパク質の変形や毛髪の強度低下につながります。
1-3. アルカリが強いほど傷むの?
アルカリ剤の量だけでダメージは決まりません。実際の影響は、薬剤のpH、アルカリの種類や量、作用時間、過酸化水素の濃度、毛髪の状態などが組み合わさって決まります。
そのため「アルカリが少なければ傷まない」とも「アルカリが強ければより傷む」とも単純には言い切れません。
大切なのは、必要な色味や明るさを得るために、どのアルカリ剤を使い、どのくらいアルカリ作用が必要なのかを考えることです。
市販薬ではなく美容院で染めるメリットはこういったことを一人一人に合わせて薬剤を選定、適切な時間で使っていく事だと思っています。
2過酸化水素による髪のダメージ
2-1. 過酸化水素は何をしているのか?
過酸化水素は、アルカリカラー剤に使われる酸化剤で、アルカリカラーをする上で必要なものです。
カラー剤に使われるのは主に次の2つの働きが目的です。
- 髪のメラニン色素を酸化し、地毛の髪色を明るくする。
- 染料の前駆体などを酸化反応させ、毛髪内部で発色させる。
つまり、過酸化水素は髪のメラニンを減らしを明るくするためだけでなく、カラーを発色させるためにも必要です。
ただし、酸化反応はメラニン色素だけを狙って作用するわけではありません。
カラーに必要な酸化反応が、同時に毛髪のタンパク質などにも悪影響することが、ダメージの重要な要因です。
2-2. 過酸化水素による3つの変化
① メラニン色素の酸化分解
髪の色を構成するメラニン色素が酸化されることで、地毛の髪色が明るくなります。
明るくする力を高めるほど、メラニン以外の毛髪成分にも酸化による影響で髪に負担がおきます。

② ケラチンなどのタンパク質の酸化
毛髪の主成分であるケラチンは、アミノ酸が連なってできたタンパク質です。
酸化によってアミノ酸の化学構造が変化すると、システィン酸が発生し、一度発生したシスティン酸は元のシスチンに戻れず、毛髪の強度が低下します。

③ キューティクルや内部構造への影響
酸化処理によってキューティクルの損傷や剥離が進み、内部のタンパク質が流出しやすくなります。
その結果、毛髪の強度低下、ゴワつき、切れ毛などの元になります。


2-3. 過酸化水素の濃度が高いほど傷むのか?
一般的に、濃度が高い過酸化水素の方が毛髪の酸化ダメージが大きくなります。日本で使用できる過酸化水素の濃度は最大6%まで。しかし、濃度だけでなく、放置時間や、薬剤全体のphなどにより左右されます。
また、同じ濃度のカラー剤でも、健康な新生毛と、何度もカラーを繰り返し損傷した毛先とでは、反応が大きく異なり、傷んだ髪の負担は加速的に増えていきます。
そのため、カラーのダメージを抑えるには、過酸化水素の濃度を考えるだけでなく、毛髪の状態に応じて薬剤の作用を必要最小限の範囲にとどめることが重要です。
3.カラー中に起きるシスチン結合の酸化とシステイン酸の発生
3-1. シスチン結合とは?
毛髪の主成分であるケラチンには、システインという含硫アミノ酸に由来する構造があります。
2つのシステイン残基が硫黄同士で結びついたものが、ジスルフィド結合、いわゆる S-S結合(シスチン結合) です。
この結合は、ケラチン同士をつなぎ、毛髪の強度や形状の安定性を保っています。

3-2. 過酸化水素って何が起きるの?
過酸化水素などの酸化剤が毛髪に作用すると、シスチン結合を構成する硫黄を含む部分が酸化されます。
酸化が進むと、シスチン結合が変化しシステイン酸が生成されます。研究では、シスチン由来の硫黄を含む構造がシステイン酸へ変化することが確認されています。
この変化を簡単に表すと、次のようになります。
シスチン結合(S-S結合)というケラチン同士をつなぐ構造
↓
酸化反応(カラー剤に含まれる過酸化水素が作用)
↓
システイン酸の生成(硫黄を含む構造が、酸化された状態へ)
↓
毛髪構造への影響(結合が脆くなり、強度がおち、水を吸いやすくなる)
という化学反応が過酸化水素によるダメージです。
3-3. なぜシステイン酸が問題になるの?
システイン酸は単に「結合が切れた状態」ではありません。シスチン結合を構成する硫黄を含む部分が、酸化によって別の化学構造へ変化したものです。
この変化が重要なのは、システイン酸が生成されると、元のシスチン結合の状態に戻れないためです。
また、システイン酸は酸性にかたむき、毛髪のイオンバランスや水の吸い込みやすさに影響します。
酸化することで、毛髪の親水性が増し、水による膨潤や表面のイオンバランスが変わるということです。
その結果、毛髪は、次のような変化が現れます。
- 濡れたときに髪が柔らかくなりすぎる。
- 乾いたときにゴワつきやパサつきを感じる。
- 引っ張ったときの強度が低下する。
- キューティクルの損傷やタンパク質の流出が進む。
ただし、これらはシステイン酸だけでなく、脂質の損失、タンパク質の変性、キューティクルやCMCの損傷なども関係しています。
3-4. システイン酸はトリートメントで元に戻せるの?
残念ながら現在のトリートメントでは、システイン酸を元のシスチン結合へ戻すことはできません。
しかし、トリートメントによって毛髪表面のひっかりを改善したり、毛髪内部に成分を補給したりすることで、手触りや扱いやすさは改善できます。
トリートメントにできることは
- 改善できること: 手触り、滑り、まとまり、パサつき、ごわつき。摩擦による負担など。
- 改善できないこと: 酸化によって変化したシステイン酸を、元のシスチン結合へ戻すこと。
一度システィン酸に変化することで元に戻らないダメージを蓄積させてしまいます。なので、当店の提唱している「ダメージの最小化」はシスティン酸の抑制と、CMCと脂質の流出を防ぐことです。
そして、すでに足りなくなった栄養を補うのはトリートメントは補修。システィン酸の抑制は予防と分けて考えています。

ケラチンの周辺のタンパク質を守り、ケラチンの損傷を防ぎます。
4.CMCと脂質の流出
4-1. CMCとは何か?
CMCは、細胞膜複合体(Cell Membrane Complex)の略称です。
毛髪内部では、キューティクル同士、コルテックスの細胞同士などの境界に存在し、細胞同士をつなぐ接着剤の役割を担っています。脂質やタンパク質を含む構造で、毛髪内部の物質移動や力学的な性質にも関係します。
4-2. カラーによってCMCに何が起きるのか?
カラー剤はCMCを含む毛髪内部の構造にも影響します。
ダメージが進行すると毛髪を構成する脂質やタンパク質が流出しやすくなり、接着剤がなくなることで毛髪内部の構造が弱くなります。
CMCが損傷すると、次のような変化がおきます。
- 毛髪内部の細胞同士のつながりが弱くなる。
- 水分や脂質の移動・保持力が低下する。
- 毛髪の摩擦や強度も低下する。
- 繰り返しの化学処理によって、ダメージに抵抗する力が低下する。
そこで、当店は全てのカラー剤にCMCの流出を抑制する薬剤を予防美容として配合しています。

CMCの流動性を高め、染色効果を落とさずセラミドの流出を抑制します。
ただし、水分保持はCMCだけでなく、毛髪内部のタンパク質や湿度などの環境、表面の脂質にも左右されますが重要な要因なのでこだわって気をつけています。
4-3. 乾燥する髪は、単に水分が足りないだけではない
カラー後の髪がパサつく、乾燥するというお悩みは良くいただきます。
保湿というのは、水分が足りないだけではなく、表面脂質の損失、キューティクルの損傷、タンパク質の変性や流出などが重なり、髪の水とのなじみ方や摩擦耐性が変化し、内部も表面も総合的に乾燥していきます。
そのため、単純に水分を与えるだけでなく、表面の脂質を補給し、疑似的とはいえキューティクルを補修し、良質なタンパク質を補給し健康な髪に近づけるケアが重要になります。
5.タンパク質の変性と流出
5-1. 髪はタンパク質でできている
毛髪の主成分はケラチンを中心とするタンパク質です。カラー剤の酸化作用やアルカリ剤は、タンパク質の構造にも影響し髪の強度が低下します。
また、キューティクルの損耗やシスティン酸の増加、CMC成分の低下で、タンパク質が毛髪外へ流出しやすくなります。
毛髪の強度が落ちるというのは、ケラチンとケラチンの周辺のタンパク質が変形、流出することが主な原因です。
5-2. タンパク質の変化が手触りを悪くします
毛髪内部のタンパク質が変化すると、髪の強度やしなやかさが低下します。カラーを繰り返すことで髪は次のような変化が見られます。
- ハリやコシが低下する。
- 毛先が引っ掛かりやすくなる。
- 切れ毛が増える。
これらはタンパク質の損傷、流出だけでなく、脂質やCMCの損失、キューティクルの状態、熱や摩擦なども関係しています。
髪のダメージは、タンパク質が失われただけではないのですが重要な要素です。なので、当店は髪質に合わせ、品質の良いタンパク質の補給にもこだわっています。

世界最新バイオペプチド原料を高濃度に配合した活性ケラペプチド処理剤。
内部の補修に特化しています。

柔らかい質感を出しつつ内部の補修をします。

キューティクル層の補修に特化しています。
6.カラーの繰り返しによるダメージの蓄積
6-1. なぜ毛先ほど傷みやすいの?
根元から毛先まで髪は同じ状態ではありません。
根元の新生毛は、通常、過去のカラーによる化学的な影響を受けていません。一方、毛先はこれまでのカラー、ブリーチ、縮毛矯正などの薬剤ダメージ。ドライヤー、アイロン、紫外線、摩擦など生活する上でのダメージを積み重ねています。
そのため、同じ薬剤を根元から毛先まで一律に塗布すると、すでに損傷している部分に、必要以上のダメージを与えてしまうので、時間差をつける、薬剤を変えるなどの適切な技術を用います。
6-2. ダメージを左右する要素
| 要素 | 毛髪への影響 |
|---|---|
| アルカリの作用 | 膨潤、表面脂質や内部構造への影響 |
| 過酸化水素の作用 | メラニンやタンパク質などの酸化 |
| 放置時間 | 薬剤の作用が続く時間に関係 |
| 既染部への塗布 | 既存の損傷部にカラー剤が重なる |
| 過去の施術履歴 | 累積した損傷によって毛髪の耐性が落ちている |
| 熱や摩擦 | 化学処理後の髪に物理的な負担が加わる |
重要なのは、ダメージを単純に「カラーを何回したか」だけで判断しないことです。薬剤の種類や作用条件、施術履歴、現在の毛髪の状態と合わせて判断しています。
6-3. カラー後に髪に残るダメージの原因を取り除きます。
カラー後のケアでは、残留した薬剤や反応成分への対処も重要な視点です。
ただし、過酸化水素、アルカリ剤、酸化染料などは、それぞれ性質が異なります。すべてをひとまとめにして「残留薬剤」と説明するよりも、成分ごとの性質に応じて、適切な洗浄や処理を考える方が正確です。
また、ヘマチンやカタラーゼなどの成分は、製品の処方や使用条件によって過酸化水素への作用が期待されますが、施術後の処理によって、すでに生じたシステイン酸や失われた毛髪構造が元に戻るわけではありません。
残留物への対処と、すでに起きた毛髪損傷への補修は、別の目的として説明するとよいでしょう。
7.カラーのダメージを減らすために取り組んでいること
今までに書いた様々な髪のダメージの原因。これらを理解し、一つ一つ問題を解決することで当店は「ダメージの最小化」をうたっています。
しかし、これはあくまでも現在の科学で判明している範囲内でのことで、時代と共に変わる可能性が有ります。
当店のダメージ対策をまとめるとは「何かを補う」だけではなく、必要以上の損傷を起こさないことに重点をおいています。
そのために取り組んでいることをまとめると
① 毛髪の状態を見極める
新生毛と既染毛、毛先の損傷度、その人の毛質、過去の施術履歴を確認し、現在の髪に合った薬剤選定を行っています。
② 必要な薬剤作用に調整する
明るさや色味などの目的に合わせ、アルカリの作用や酸化剤の強さ、あるいは香草カラーなどを用い不要な力を働かせません。
③ 既染部への不要な負担を減らす
根元と毛先で必要な力が異なる場合は、塗布範囲や薬剤を使い分けています。
④カラー後に残留する薬剤を適切に処理します。
非常に基本的なことなのですが、薬剤はしっかり流す。その後に過酸化水素はヘマチン、カタラーゼを用い科学的に分解。アルカリ剤は除去できないので適度な酸性処理で封鎖。ジアミンは界面活性剤でしっかりと除去していきます。
